2017年7月17日月曜日

ドリッパーの選び方

お店ではKONOの新型ドリッパー(コーノ式では「フィルタ」といいます)MDK-21を愛用している。
もともとは2015年のコーノ90周年に合わせて発売された記念モデルを、再発売したもの。
しばらく在庫切れになっていたが、復活したようなので再度ご紹介します。


開発元のコーヒーサイフォン株式会社のオンラインショップで買えます。
→珈琲サイフォン株式会社 Webショップ

新型のポイントは、中央にある「リブ」が極めて短いというところ。



最下部から上に伸びている「畝」のようなものがリブで、この部分だけペーパーと器具が圧着されず空気が通ってコーヒー液をサーバーに導く役割をする。
左が前モデルのMDN型で、右側のMDK-21に比べると明らかに「畝」が長いのがわかるだろう。
抽出において、これがどういう差を生むのかというと、
リブが長ければ落ちやすく、短ければ落ちにくくなるのである。


落ちにくい器具では、じっくり抽出されるため味が濃く出る。
が、少しずつ注湯しないと、すぐに溢れてしまうため注湯作業は格段に難しくなる。
だからMDN型を選ぶかMDK型を選ぶかは、味と作業難易度とのトレードオフということになる。

もうひとつ、実に好対照というべき製品があって、それがハリオV60。



リブがフィルタの全体を覆うように入っているのがわかるだろう。
お湯は入れた量に素直に追随して落ちていく。
作業的には非常にスムースで、判断に迷うことがない。
ゆっくりと湯を注ぎ続けることができれば、現在のドリップ系の器具の中で最も作業の楽な手段かもしれない。

さらにこのガラス製のモデルは実にスタイリッシュだ。


そのうえAmazonで買える。
そういう意味でもスタイリッシュ。

ちなみにコーノとハリオのペーパーは完全互換で、どちらのものも使える。
入手しやすい方を使えばいいだろう。

で、正直なところ書いている僕も、ここに挙げた三種のフィルタで、それほど味の差はないと思っている。
この仕事を始めた頃は、そりゃコーノ一択でしょ、と思っていたが、だんだんどの器具でも同じ味に入れられるようになってきた。

器具の違いは結局作業上の「感触」の違いのようなものだから、直感で選んでいいと思う。
好みのデザインとか、プロっぽい感じとか。

その後、使って慣れて自分の味を作っていく。
そういう感じでいいと思う。


2017年7月15日土曜日

ミルなら、KalitaのナイスカットGを買えばいいと思うよ

コーヒーのことでお客さまから質問を受けることが多い。
一番多いのは、抽出のための器具のことだが、時々、ミルはどれがいいでしょうという質問を受ける。

2007年に開店してしばらくの間、この質問には簡単に答えることができた。
Kalitaのナイスカットミルを買ってください。
これでオーケー。
実際お店で自分が使っていたこの製品は、 そのくらい優れていた。

詳しくはこちらの記事を

→コーヒーエンジニアリングの時代と、アイスコーヒーの真理

ところがこの製品、
売れば売るほど赤字になる
というよく聞く理由で廃番になってしまった。

ちょっと話は逸れるが、お店をやっていてこのセリフを何度聞いたか、考えると憂鬱になる。
主に乳製品でこのセリフをよく聞いた。
オーム乳業のクレーム・ドゥーブル、牧家の牛乳「草香る」、森永の「FH40」生クリーム・・・

みな口を揃えて「売れば売るほど赤字になる」と言ったものだ。
もしそれが本当の理由なら最適解は「値上げ」をすることだろうから、実際は、工場運営の問題や、原材料の安定的確保などの問題などが複合的にあって、廃番に踏み切ったのだろう。
でもそんな現実的で世知辛い話よりは、企業の良心をアピールできる「売れば売るほど赤字になる」のほうが、言う方も楽だし、耳にも心地よい。
聞き流してあげるのが大人というものだ。

話を戻す。
カリタがナイスカットミルをやめて、出した商品がナイスカットミル・ネクストGで、静電気除去装置付で、正価では約6万円。
とうてい家庭用に簡単に買える金額ではなく、業務用としても少し躊躇する。

カリタ ネクストG 電動ミル アーミーグリーン 61090
Kalita (カリタ)
売り上げランキング: 20,453

当然市場は、反発。ナイスカットミルのストレートな後継機を待ち望んでいた。
そして、
そして、
そしてやっと、
やっと出ました、後継機。ナイスカットGです。

カリタ ナイスカットG アイボリー #61102
Kalita (カリタ) (2017-03-13)
売り上げランキング: 14,654

わー、パチパチパチ。
これで「あのー、ミルは・・」と聞かれたとき、にっこり笑って、
カリタのナイスカットGを買ってください
と言える。
すでに実売3万円を切っていますね。
前モデルは最安で2万円弱までいきましたが、そうなるとまたヤメルとか言い出すから、適正価格で長く販売してほしいです。

で、タイミングよく、東京の知人からTwitterのDMでミルの質問があったので、ナイスカットGをお勧めしたらさっそく買って、大満足だそうです。

よかった、よかった。

2017年7月13日木曜日

ココアクッキー三種、新登場です。

レギュラー商品のアーモンドココア・クッキーに、新しい仲間が増えました。


時計回りに上から
「オートミール・ココアクッキー」
「チョコチップ・ココアクッキー」
「くるみココアクッキー」
です。

直径約7センチの大判クッキー。
一枚130円。
数量限定でのご提供です。


ルバーブと赤い実のムース、できました。

新しいケーキのご紹介です。
『ルバーブと赤い実のムース』
410円です。

知っている人は知っているが、知らない人は知らないお菓子の材料が「ルバーブ」という植物。

ルバーブは、特有の香りと酸味を持つタデ科の野菜です。見た目はフキのようですが、加熱すると短時間で溶けてしまうため、一般的な料理にはあまり使われず、おもにジャムやお菓子作りなどに使われます。食用にするのは30~40cmほどの葉柄(軸)の部分のみ。実際はフキのように大きな葉がついていますが、ルバーブの葉には毒性があるため食べられません。そのため店頭では軸の部分だけで売られています。ちなみにフキはキク科で、ルバーブはタデ科なので両者は仲間ではありません。北海道や長野県など涼しい地域で栽培されているほか、オランダなどからも輸入されています。国内産のものは5月から9月頃が収穫時期で、初夏のものは酸味が強く、秋になると酸味がやわらいできます。(「野菜ナビ」より)

そうです。北海道で作られているんですね。
もちろんこちらも道産品を使ってます。
爽やかな酸味のあるムースに仕上がっています。

季節のフルーツをたっぷり載せています。

2017年7月7日金曜日

札幌市の国際会議場新設案件に寄せて

今朝の北海道新聞朝刊に、パークホテルに国際会議場を設置する構想が載っていた。

















MICEの誘致が目的らしい。
MICEというのは、官公庁のHPに、こう説明されている。
企業等の会議(Meeting)、企業等の行う報奨・研修旅行(インセンティブ旅行)(Incentive Travel)、国際機関・団体、学会等が行う国際会議(Convention)、展示会・見本市、イベント(Exhibition/Event)の頭文字のことであり、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称です。
つまり札幌市主導で、民間企業であるパークホテルに、MICE誘致を見越した協業をもちかけている、ということなのだろう。高層階から観る中島公園の景観は見事で、本案件の候補地としては申し分ない。
観光業というのは本来集客装置で、集まった人々が消費する産業がセットになっていなくてはならないが、その受け皿として「ススキノ」という飲食店街をセットできるのも、確かに目的に適っていると思われる。


札幌市はこのような官民協業には実績があって、北海道日本ハムファイターズの誘致はその最も成功した例のひとつだと思う。

気になるのは、その2001年から16年も続いた協業がここにきて、ほぼ確実に終焉を迎えるのが決まっているということだが、これもファイターズの集客力が企業の投資を促すほどに成長したという証で、札幌市が目指したプロスポーツの誘致による地域活性が成功をおさめたことを示している。

その意味では、多少広さが希望に合わないからといって、北広島市に本拠を移すというのは少し商業人としての仁義に欠けているのでは、と思わなくもないが、その非情さもまた現代のビジネス的ではある。

このような協業は、こうした先の読めなさと常に背中合わせだ。
現場でこういうタフな交渉ができる人材を、役所が採用できているか、また育成できているか、が成功の鍵を握るような気がする。

2017年7月6日木曜日

こむら返り part-2

以前、このブログでこむら返りについて書いた。
2014.10.15「こむら返り」

そこでも引用したが、こむら返りの原因にはいろいろあって、個々の特定は難しいがその正体を煎じ詰めて言うなら、
運動中のこむら返りは、脳から出された信号が運動神経に伝達される過程で異常を起こし、筋肉が過剰に収縮してしまうことが原因ですが、睡眠中の場合も同様のメカニズムで発生します。(http://atakin.jp/e00koram/e04komura.html)
こういうことでいいと思う。
引用した元記事では、その予防法として、
水分や電化質や塩分の補給も重要ですので、飲み物(スポーツドリンクやクエン酸を含んだもの等)で補うとより効果的
とあり、Facebookで友人からも同様のアドバイスをもらったこともあって、試してみたらこれがよく効いた。
おかげでずいぶん頻度は落ちたが、それでも時々痙攣の予兆に襲われることがある。

たいへん有り難いことだが、お店には私なんぞと話をしたくて訪れてくださるお客さまがいらっしゃって、短い方でも30分から1時間。長い方だと3時間にわたってお話される方も。

一日に数名重なると、けっこうな時間立ちっぱなしになって、そんな夜はストレッチなどをしておくよう心がけるが、それでもこむら返りが起きたりする。

しかし、人間の体というのは凄いものだ。
そんな時にも、意識の外で自然に対処法を編み出してしまう。
ある夜、こむら返りの予兆を感じて目が覚めた時、ほとんど何も考えずにベッドの横にすっと直立姿勢のまま降りたら、そのまま「すうっ」と音もなくこむら返りの予兆が去っていったのだ。

もちろん医学的な根拠などわからない。
しかし、前出の記事にも
夜間の睡眠中に起こるこむら返りですが、睡眠中は脚が伸びてふくらはぎの部分が収縮している状態になっているので、運動神経の誤動作によってこむら返りが起きやすい状態になっています。
とあるので、この「起きやすい」状況が解消されることが一義的には効いているのだろう。
睡眠中に予兆を感じ取って行動に移せるか、というところに難しさはあるが、それ以降、なんどもこの「直立姿勢でベッドから降りる」というシンプルな対処がこむら返りを未然に防いでくれた。

布団で寝ている人には使えないという難点もあるし、そもそも万人に効く対処はないということだから、 やってみたが効果がなかったというクレームにはお応えしかねるが、あくまでも個人的体験として、こむら返りが持つ、「神経の誤作動が自分を裏切る」という恐怖感から解放された喜びについて述べさせていただいた。
御清聴ありがとうございました。

2017年6月28日水曜日

焙煎のこと

美味しいコーヒーを淹れるための第一歩は、良い豆を手に入れることに尽きる。
では「良い豆」とは何か。

鮮度の問題は大きい。
焙煎によって作られた香味成分は日を追うにつれて分解していってしまうからで、一週間も経てば半分以上が無くなってしまう。
しかし、ということは、そもそもその香味成分が上手く焙煎によって焼成されていなければ、最初から話にならないというだ。

というわけで、良い豆のもっとも重要な要件は上手に焙煎された豆である、とここでは定義してしまおう。

何が上手な焙煎かということに関しては、ここまでの論展開で明らかなように、豆が持つ香味成分を最大限に焼成できていること、と決まる。

調理の基本に照らせば、豆の加熱の肝は、ひとつの鍋(焙煎の場合には釜)に加える総熱量と、一つ一つの豆の中心部まで熱が届くまでのスピードが、どうバランスしているか、ということになる。
このバランスを取るために媒介としての液体(水であったり、スープだったり)の量や浸透性を調整したり、鍋の形状や素材などを工夫してきたのが調理の歴史である。

コーヒー豆の場合はシンプルで、そもそも水に入れるわけにはいかないのだから、そのまま加熱するしかない。
調整のための媒介を介在させられない、というところがコーヒー豆の焙煎が難しいところなのだ。

またコーヒー豆はとても硬いので、火が通りにくい。全体の熱量をかなり高くする必要があるのだ。
だから普通に鍋で加熱でもしようものなら、表面が焦げて芯が生のまま、という豆が出来上がる。
そのために回転ドラムの中で豆を泳がせ、空気で加熱するという焙煎機の原理が生まれたわけだ。


普通に考えれば、与えるべき熱量と豆の中心まで熱が入るスピードを調整するためには火力を調整すればいい、ということになるだろうが、それもそう簡単にはいかない事情がある。
必要な熱量を与えるのに、時間を長く取る、つまり弱火に頼る、ということがコーヒー豆の焙煎では出来ないのだ。
それは800種類もの香味成分を焼成させる焙煎では、デンプンをアルファ化するような、火が通ればいいという単純さを適用できないからだ。
どうしても一定の強い火力で炙る過程が必要になる。


くどくどと書いてきたわりに結論がシンプルでまったく恐縮なのだが、つまり、焙煎はまとまった量でやらないと美味しくならないのである。

だからといって大量に焙煎すると、鮮度が落ちて、スカスカな味のコーヒーを売ることになってしまう。
だから芯残りのない焙煎のできる最少量を試行錯誤で探って日々焙煎しているのです。
今のところ、9種類の豆をそれぞれ1キロずつ焙煎していく、というのが味と販売量のバランス点になっているようです。