2013年2月21日木曜日

その講習、一日拾萬円也。カフェジリオ・コーヒーストーリー part-4

承前。
3時間のセミナーで、僕の目から数枚の鱗を落とした中野弘志さんの自家焙煎セミナー。

結論としては、珈琲という飲料が、焙煎によって作られる800種類の香味成分を抽出して飲むものであること。
さらにその香味成分が、加熱によって多孔質化した「孔」の中に生成されていることから、優れた焙煎とは、多孔質化の最大化と香味成分をより多く作り出すが、焦がさない、という最適点を見つけることに他ならない、
ということだとわかった。

そして、その最適点は、豆を育てる土壌によって変わる、ということ。
見極めるポイントは定量化できず、「状況判断」によって行うということ。
ゆえに、結局数こなさないとダメねってことがわかった。

しかし、闇雲に数をこなしているだけで身につくような技術でもない。やはり、経験豊かな指導者が横についてアドバイスを受けることが必要だ。

で、中野先生のご自宅で二日間マンツーマンのつきっきりでやってあげますよ、というセミナーにおいでなさいな、ということなのでした。
なんとお値段、二日間で弐拾萬円也。

でもねえ、この際背に腹は代えられないよなあ、と思った。
だって、今まで数人の「先生」と呼ばれる人に習ってきたわけだけど、それぞれに皆仰ることが違う。このまま確信を持てないまま、ズルズルいろんな人にお話聴いて回るのもいい加減疲れたし、そろそろ確かな理論持って、自分の味作り始めたいよな、と思ったわけです。

で、思い切ってお電話してみた。
自家焙煎でやりたいと思った経緯とか、今まで教わったこととか、洗いざらい話してみた。
そしたら、中野先生、「あ、そこまでやっていらしたのなら、一日で習得できるでしょう。拾萬円で結構です。ご都合の良い日は何時ですか?」とおっしゃる。

さっそく日を決めたら、翌日様々な国の焙煎された珈琲豆が合計1kg送られてきた。
とにかく、それを全部飲んで、舌が珈琲の味の違いがわかるようにしといてください、と書いてあった。
期日まで4日程しかない。
4日で一キロの珈琲飲むってのはけっこう骨ですよ。
結局半分くらいしか飲めなかったけど、まあ全種類飲んだ。
もう最期の方は、美味しいかどうか分かんなくなってたな。
で、電車に乗って横浜の先生のお宅に向かったのだ。

到着すると、どのくらい基礎的な知識が共有できているか、さらっと打ち合わせて、だいたい問題ないレベルだと確認して、もうさっそく焙煎に入る。

まず驚いたのは、この先生、珈琲豆を米のように「研ぐ」のだ。バケツの中で研いだ豆を新聞紙にあげて、荒く乾かしてある。
庭に別棟として設えられた焙煎室には、1kg用の小さな富士ローヤルが置かれていた。これは河野塾でもよく扱った機種で、500gくらいの少量でも綺麗に焙煎できる便利なものだ。

だが、やはり郷に入れば郷に従え。
中野先生は、ダンパーは投入する生豆の量に応じて、焙煎釜の容量を最適化するのが役割、と規定されていて、1kg釜で500g焙煎の場合は、ダンパーは開度50%、バーナーも強度50%で固定して、ひたすら煎り上がりの時間に集中する、というやり方。

しかし、30秒ごとくらいにテストスプーンを開けて、ああ今内部に大きな亀裂が入ったよ、とか、今皮の部分が割れ始めているんだよ、とか細かく教えてくださる。
とにかくこれをずっと一日中やるのだ。

途中集中力が切れて、シティローストくらいのところで上げてしまった時、先生は「お、それ半分とっとこう」と言って、半分を別のボウルにあけて、残りを再度釜に投入。何も無かったかのように焙煎を続けた。
「あとで飲み比べてみようね」と、普通におっしゃるので、焙煎の中断ってアリなんですか?と聞いてみたが、昔からダブル焙煎という手法があるそうで、まったく問題ないそうだ。
勉強になるなあ。

さて、この焙煎度比較、どうだったのか。
続きは次回。

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